ぽろぽろ

好き勝手に舞台の感想などをこぼします。

舞台劇からくりサーカス開始1分弱で泣いた話

脆弱な涙腺に定評のある私は、その日あろうことかハンカチを忘れた。
観に行くのは舞台劇「からくりサーカス」。私の涙腺のツボをこれでもかと突くのが上手い藤田先生の大好きな作品だ。そこによっこいさんが出演されると知り、「お!」と思ったらENDLESSさんの興業だった。かって2.5という言葉がない頃に某円卓の騎士の作品で数多の騎士の中1番カッコ良かった田中良子さんが大好きなルシールで、これはもうヤバいと覚悟を決めた。洋二郎さんフェイスレスってのもハマり役過ぎてENDLESSさんこえ!って思った。それなのにハンカチを忘れるとかバカの所業でしかない。私は友人との待ち合わせまで必死にハンカチを探した。

ハンカチっていざ欲しいと思うと、どこに売ってるの?ってなることありません?新宿ルミネでその様になって大変慌てたけど、PePeで無事にゲット!
よっこいさんを観に行く、というかポラリス大好きが染み付いてるので星座の描かれた星空ハンカチを買って、ひと安心と劇場に向かった。

その日は急遽入れた観劇日で、友人とは席は離ればなれでも良いので~と人様からお譲り頂き、1枚はプレミアム、1枚は一般だった。
入口でガチンコジャンケンでプレミアムをもぎ取った私は、アクア・ウイタエを飲みながら座席に座った。2列目が実質最前で緊張でカッチコチになるなか、サーカスが始まった。

仲町サーカスでーす!と入ってきた男性は仲町団長にしては恰幅が少々足りなかったが、これは上手い!と思った。中央に丸型の盆があるだけのステージは舞台としてはかなり異質だし、その周囲に360°客席がある空間で、サーカス団員たちがあっちゃこっちゃと動くのを私たちは好きに観ていい雰囲気作りは大成功の域ではと感じた。
そして何より特筆すべきはクマのぬいぐるみが居た。鳴海兄ちゃんが、そこにいた。
生憎、私の席の近くをウロウロはしてくれなかったが、クマのぬいぐるみが居るというだけで、からくりサーカスの世界に自分が入り込んだような感覚に突き落とされた。

そう、突き落とされた。
始まりは以外にもアルルカンの語りだったのにも関わらず、鳴海兄ちゃんと勝の出逢いもクマは既に脱がれていたのに、私はあの怒濤の運命の歯車が軋む世界に突き落とされ、気付いた時には泣いていた。役者も出揃っておらず、アルルカンが話していたことしか覚えていないので何がキッカケだったから分からない。
でも、大好きな作品が、惨さの中に真っ直ぐな光が強く煌めく世界が今、目の前にあることにおそらく泣いたのでは?と今は思う。
何が良かったって、本当に本当に鳴海兄ちゃんが鳴海兄ちゃんでしかなかった!姿形を寄せるのが2.5の醍醐味とはいえ、あれほど声も体格も殺陣も完璧な鳴海兄ちゃんがそこに居て、勝に笑え!と言うなんて泣かずにいられる訳がなかった!
そして勝が、これまた小5に見えるってなんの魔法なんですかね……やべ、この役者さんめっちゃ上手いわ……って心で何度も息を飲まされました。深沢さんすみません、観る前は小5は無理だろって言ってました。本当にごめんなさい。ラストシーンがまた頭殴られるぐらい凄かったデス。
私が拝見したしろがねは飯田さんでしたが、細さやキリっとしたお顔がしろがねだー!ってなったし、アルルカン操る時の指の角度とか漫画そのまんまで凄い!って思ったポイントです!フランシーヌの時の満天笑顔もめっちゃ可愛くて、白銀に次の話をするとこは泣きに泣きましたわ……

このままだとキャスト全員語りそうなので、よっこいさんのジョージと漫画の推しキャラ阿紫花さんの健人くんに触れますと。
ジョージの武器は「そうきたか」と思いました。アレは再現無理だろうからどうくるかとドキドキしてたんだけど、よく考えられたアレンジだったし、あの武器(オモチャ?ギミック?)思い付いた人天才では?あれを、ちゃんと重そうに武器として扱うよっこいカッコ良かったし、あのトンチキな衣装でもスタイルめっちゃ良くてジョージ「長い」印象にベストマッチだった!
阿紫花さんは私の中では人形遣いで銃とか打つ人のイメージだったので、コート翻しての美しい回し蹴りに度肝を抜かれたし、心で悲鳴だった!嬉しくて泣いた!それがまたコートに手は突っ込んだままってのが阿紫花さんらしくて堪らなさ倍増!!!凄いよ健人くん!!!
ふたりのサハラへの運搬シーンと、見せ場だろう強制○○と、ラストシーンがよく見えない席だったので次はオペラグラスで確認したいんだけど、泣きに泣きながら使用出来るか不安しかない。

最古の4人は皆さん1度は拝見したことのある役者さんで安定の素晴しさ。ぶっちゃけパンタローネ唐橋さんって忘れてたよね。パンタローネとしか見てなかったよね。強いて言うならアレルッキーノはもうちょい背が高くて顔も見えない方が良かったのでは?と、こんな熱いキャラだったか?という二点が頭を過ったけど漫画読み返したら全然OKだったので無問題!コロンビーヌは綺麗でお茶目で怖いし、ドットーレは道化のはずなのに怖いし最高だった!

それでは最後に、ルシールを語ります。ありがとう良子さん。知ってたし信じてたけど、予想を遥かに越える素晴らしい戦闘ババアでした!!!相変わらず誰よりもカッコ良くて、ルシールが居るという存在感にだいたい泣いてたけど、クロケットのシーンがまたを観れたことが観劇人生の喜びのトップクラスに即日入るほど、嬉しかったです!!!ババアと若い時の声の演じ訳がね!本当に素晴らしくてね!!!良子さんにルシールを演じて頂けて本当に幸せだった!!!

まぁ、そんな感じに身体中の水分が涸渇する勢いで泣きました。泣きすぎて、終わってから頭痛かったぐらい。(水分不足)

おそらく漫画読んでないとダイジェスト過ぎて話についていけないと思うし、アニメ観てるという友人もギリギリだったというのでストーリーを理解するにはちょっと不親切なのかもしれないけど、「すごい」と思わせることにはかなり特化した、素晴らしい作品に仕上がってると思いました。見せ方、熱のこもった演技、迫力満載の殺陣、からくりサーカスの世界は確かに、あの盆に再現されていた。

私が2時間35分の殆どを泣き続けたのは、その再現された世界の素晴しさにだったんだなぁ、と今日、漫画を読み返して思った。好きなシーンの要所々々では泣くけど、あれほど涙を止める隙がないほどじゃない。大好きなシーンと繋げ方と見せ方が本当に絶妙だったんだな、と思います。

あと数回、今度は職場後輩と観に行くけど、開始1分弱で泣くことは既に謝った。嗚咽を漏らさないように頑張るし、何よりハンカチはハンドタオルにして絶対忘れない。新品のハンカチはあまり吸収がよくない、を身をもって実感しましたので。