ぽろぽろ

好き勝手に舞台の感想などをこぼします。

推しがりさ子のガチ恋♥️俳優沼で主演したオタクの話

まずの前提をぶっちゃけておきますと、わたしは松澤くれは氏が苦手である。氏の脚本演出の作品に触れたのは、2018年8月「あなたも知らない舞台裏」で、やっぱり推しが主演だった。タイトルのあらすじから「好きじゃない予感がする」というオタクの直感は正しく、観劇後に憂鬱を通り越して陰鬱にまで落ちた。嫌だった点は過去に電脳の海に放逐してあるので改めて語ることはないが、そんな経緯から氏の作品に対しての苦手意識は強硬なまでに確立されており、「りさ子のガチ恋♥️俳優沼 再演決定!」というフライヤーに次こそ推しは出ないでくださいと祈ったのもだが、私の願いも虚しく、推しは主演として出演が決まった。


主演のしょうたくん。タイトルのりさ子が推す、若手俳優、匂わせ彼女が発覚して炎上する。

それは初演をタイトルのみしか知らず、小説も台本も手にせずとも分かるキャラクター像で、正直そこで顔と心が「スン……」っとなったのは致し方ないと思う。誰が好き好んで推しが炎上俳優を演じるのを観たいというのか……(りさ子のひとつ前の出演作品も炎上芸人役だったけどな!あっはっは)

そこで「観ない」という選択肢も勿論あった。松澤くれは氏の作品が苦手で、その上炎上俳優を演じる推しなんてキツい以外の何ものでもないと、そっと目を伏せてやり過ごすことも私は出来たけれど、そこが役者オタクの矛盾で、どんなに虚無を強く感じても「演技をしてる推しが観たい」という気持ちが前に出てしまう。あと批評文句は観てからしか言えない。観てないヤツに発言権などない。そんな訳で1公演だけ入ることを決めてチケットを取った。

ここで私が取った第1の自衛は、いつも推しの観劇はぼっちを決めている社交性が微塵も見当たらない脆弱なオタクが、勇気を振り絞って同担の方に声を掛けた。「終わったあとにお話させて欲しい」「何か次の楽しい予定が無いと劇場に行く勇気が持てないかもしれない」とすがり付いた。慈悲深い同担様がご快諾してくださった上に、ポラリス鑑賞会をしようとまで行ってくださり、確実に目的が逆転した。劇団シャイニングポラリス最高。再演とビジュアルブックをいつまでも待ってる。


次に第2の自衛として私がしたことは、ネットで「りさ子」検索をしまくった。公演が始まる前から始まってからも、普段ならば自分が観に行くまで決してネタバレをしないように生きているのを、今回は敢えて情報を収集し「予習」した。これはキツかったら目を閉じて心を殺す為の予習である。公演すぐに入られた上記とは別の同担様にもお声をかけ、ネタバレ全開で注意すべきポイントをお聞きした。この方は原作本も読んでいらしたので、りさ子の推し活や手紙が身につまされるといった点、推しの部分では匂わせ彼女役の方と濃厚チッスが3回あると教えてくれた。流石は同担、配慮のあるポイントでとてもありがたかった。


そんな今までにない厳戒体制をひきつつ全くテンションが上がらないまま観劇に赴いたが、観終わった後に思ったのは、検索をする中で幾つかみかけた「推しが主演のオタクはどんな気持ちなのw」を自分なりに纏めたい、だった。なので今、コレをぽちぽちしています。

えらく長い前置きでしたが、推しである柏木佑介さんのことだけを特出して話すなら、今回も推しはとても良く、相変わらず「いい人」を演じるのが上手いし、殺陣は凄い、声の起伏や話し方の演じ分けも素晴らしいし、「かー!やっぱり好きだわー!(ダン!)」と飲み屋のテーブルにジョツキをぶつけたいほどの満足度だった!そして懸念されていたキッスですが、まぁ3回ちゅっちゅしてたんですが「濃厚」という前情報に「べろちゅー」を想定していたら全然軽くて拍子抜けした上に最初のキッス下手くそすぎてワロタwww雰囲気とかタイミングとか練習してwって思ってしまったw

まぁ私はガチ恋からは程遠い脆弱オタなので、しょうたくん良い人じゃーん😃とかいうチョロチョロのチョロでした。なんというか、役者としての自分を最優先にしていて好感が持てた。匂わせする彼女を選んでるのはオタク的にはモチロン「えー」だけど、りさ子に言った「貴女の知らないるる」って言い方が優しくも力強い愛情を感じてとても良かった。役者とファンなんて本当に一方的な見方しかできない関係だからこそ、あのひと言はグッと来たなぁ。

という訳で、柏木佑介推しが、推しだけに着目した「りさ子のガチ恋♥️俳優沼」は「今日も推しが最高だった」という代わり映えしないオタクの言葉で終わりっす。



ここからは、推しを抜いて「若手俳優オタク」「2.5大好きオタク」としての感想です。

話としてはとても良く出来ていて面白く、観劇直後に「去年の夏の100倍楽しかった」と友人にLINEしたら「去年の虚無が今日の貴女を救った」とタイムリープみたいな返事が来て今日一笑ったのですが、まぁ気持ちの良い作品では無かったです。自意識過剰、被害妄想おつ!と失笑されても仕方ないと思うけど、やはり一貫して若手俳優オタク、2.5オタクをワライモノにしている感は拭えなかった。
観劇中に上がる黄色い声、早口で目を見ては話せないりさ子、役者の呟きの「いいね」とあるあるのリプ、そして裏垢愚痴垢のドロドロさetc.……よくリサーチしてるなぁwと私も笑いはしましたけど、楽しくは無かった。こういう、自分たちの日常であり、りさ子の言う「太陽に抱かれた」生活が滑稽で面白いものとして描かれているのは、やっぱり気分の良いものではない。誰かの本気や真摯さをワライモノにするエンタメが好きではないのと、オタク相手の商売なのにそのオタクを嗤う傾向が松澤くれは氏は強いねぇ、と改めて思った次第であります。
いや、「りさ子のガチ恋♥️俳優沼」は「あなたも知らない舞台裏」の100倍面白かった。脚本も演出もよく練られてる、完成度の高い作品だった。
始めにしょうたくんオタを3人客席に仕込んでおく演出とか、相変わらず2.5舐めてんなーという劇中作品のクオリティの低さとか、カーテンコールに見せ掛けて演出とかが「きらいだなー😃」ってなるのは私の趣味嗜好なのでね、仕方ないね。しかし見せ掛けのカーテンコールはやっぱり松澤くれは氏の「世界が続いて欲しい」の演出なのかなぁ。私はエンターテイメントは一時的な魔法の世界、俗世を忘れる空間と時間であって欲しいので、現実と舞台が続くというのは御免です。

そして最後になんでや?をもうひとつ上げるなら、しょうたくんとるるはちゅっちゅしたのに、演出脚本家と女優さんのちゅーは何故隠したか。ちゃんとぶちゅっとしろ。と思ましたとさ。


あ、新垣さんのりさ子はとても良かったです。演じ訳の凄い役者さんで見応えあった!最後がとても綺麗だったなぁ✨

舞台劇からくりサーカス開始1分弱で泣いた話

脆弱な涙腺に定評のある私は、その日あろうことかハンカチを忘れた。
観に行くのは舞台劇「からくりサーカス」。私の涙腺のツボをこれでもかと突くのが上手い藤田先生の大好きな作品だ。そこによっこいさんが出演されると知り、「お!」と思ったらENDLESSさんの興業だった。かって2.5という言葉がない頃に某円卓の騎士の作品で数多の騎士の中1番カッコ良かった田中良子さんが大好きなルシールで、これはもうヤバいと覚悟を決めた。洋二郎さんフェイスレスってのもハマり役過ぎてENDLESSさんこえ!って思った。それなのにハンカチを忘れるとかバカの所業でしかない。私は友人との待ち合わせまで必死にハンカチを探した。

ハンカチっていざ欲しいと思うと、どこに売ってるの?ってなることありません?新宿ルミネでその様になって大変慌てたけど、PePeで無事にゲット!
よっこいさんを観に行く、というかポラリス大好きが染み付いてるので星座の描かれた星空ハンカチを買って、ひと安心と劇場に向かった。

その日は急遽入れた観劇日で、友人とは席は離ればなれでも良いので~と人様からお譲り頂き、1枚はプレミアム、1枚は一般だった。
入口でガチンコジャンケンでプレミアムをもぎ取った私は、アクア・ウイタエを飲みながら座席に座った。2列目が実質最前で緊張でカッチコチになるなか、サーカスが始まった。

仲町サーカスでーす!と入ってきた男性は仲町団長にしては恰幅が少々足りなかったが、これは上手い!と思った。中央に丸型の盆があるだけのステージは舞台としてはかなり異質だし、その周囲に360°客席がある空間で、サーカス団員たちがあっちゃこっちゃと動くのを私たちは好きに観ていい雰囲気作りは大成功の域ではと感じた。
そして何より特筆すべきはクマのぬいぐるみが居た。鳴海兄ちゃんが、そこにいた。
生憎、私の席の近くをウロウロはしてくれなかったが、クマのぬいぐるみが居るというだけで、からくりサーカスの世界に自分が入り込んだような感覚に突き落とされた。

そう、突き落とされた。
始まりは以外にもアルルカンの語りだったのにも関わらず、鳴海兄ちゃんと勝の出逢いもクマは既に脱がれていたのに、私はあの怒濤の運命の歯車が軋む世界に突き落とされ、気付いた時には泣いていた。役者も出揃っておらず、アルルカンが話していたことしか覚えていないので何がキッカケだったから分からない。
でも、大好きな作品が、惨さの中に真っ直ぐな光が強く煌めく世界が今、目の前にあることにおそらく泣いたのでは?と今は思う。
何が良かったって、本当に本当に鳴海兄ちゃんが鳴海兄ちゃんでしかなかった!姿形を寄せるのが2.5の醍醐味とはいえ、あれほど声も体格も殺陣も完璧な鳴海兄ちゃんがそこに居て、勝に笑え!と言うなんて泣かずにいられる訳がなかった!
そして勝が、これまた小5に見えるってなんの魔法なんですかね……やべ、この役者さんめっちゃ上手いわ……って心で何度も息を飲まされました。深沢さんすみません、観る前は小5は無理だろって言ってました。本当にごめんなさい。ラストシーンがまた頭殴られるぐらい凄かったデス。
私が拝見したしろがねは飯田さんでしたが、細さやキリっとしたお顔がしろがねだー!ってなったし、アルルカン操る時の指の角度とか漫画そのまんまで凄い!って思ったポイントです!フランシーヌの時の満天笑顔もめっちゃ可愛くて、白銀に次の話をするとこは泣きに泣きましたわ……

このままだとキャスト全員語りそうなので、よっこいさんのジョージと漫画の推しキャラ阿紫花さんの健人くんに触れますと。
ジョージの武器は「そうきたか」と思いました。アレは再現無理だろうからどうくるかとドキドキしてたんだけど、よく考えられたアレンジだったし、あの武器(オモチャ?ギミック?)思い付いた人天才では?あれを、ちゃんと重そうに武器として扱うよっこいカッコ良かったし、あのトンチキな衣装でもスタイルめっちゃ良くてジョージ「長い」印象にベストマッチだった!
阿紫花さんは私の中では人形遣いで銃とか打つ人のイメージだったので、コート翻しての美しい回し蹴りに度肝を抜かれたし、心で悲鳴だった!嬉しくて泣いた!それがまたコートに手は突っ込んだままってのが阿紫花さんらしくて堪らなさ倍増!!!凄いよ健人くん!!!
ふたりのサハラへの運搬シーンと、見せ場だろう強制○○と、ラストシーンがよく見えない席だったので次はオペラグラスで確認したいんだけど、泣きに泣きながら使用出来るか不安しかない。

最古の4人は皆さん1度は拝見したことのある役者さんで安定の素晴しさ。ぶっちゃけパンタローネ唐橋さんって忘れてたよね。パンタローネとしか見てなかったよね。強いて言うならアレルッキーノはもうちょい背が高くて顔も見えない方が良かったのでは?と、こんな熱いキャラだったか?という二点が頭を過ったけど漫画読み返したら全然OKだったので無問題!コロンビーヌは綺麗でお茶目で怖いし、ドットーレは道化のはずなのに怖いし最高だった!

それでは最後に、ルシールを語ります。ありがとう良子さん。知ってたし信じてたけど、予想を遥かに越える素晴らしい戦闘ババアでした!!!相変わらず誰よりもカッコ良くて、ルシールが居るという存在感にだいたい泣いてたけど、クロケットのシーンがまたを観れたことが観劇人生の喜びのトップクラスに即日入るほど、嬉しかったです!!!ババアと若い時の声の演じ訳がね!本当に素晴らしくてね!!!良子さんにルシールを演じて頂けて本当に幸せだった!!!

まぁ、そんな感じに身体中の水分が涸渇する勢いで泣きました。泣きすぎて、終わってから頭痛かったぐらい。(水分不足)

おそらく漫画読んでないとダイジェスト過ぎて話についていけないと思うし、アニメ観てるという友人もギリギリだったというのでストーリーを理解するにはちょっと不親切なのかもしれないけど、「すごい」と思わせることにはかなり特化した、素晴らしい作品に仕上がってると思いました。見せ方、熱のこもった演技、迫力満載の殺陣、からくりサーカスの世界は確かに、あの盆に再現されていた。

私が2時間35分の殆どを泣き続けたのは、その再現された世界の素晴しさにだったんだなぁ、と今日、漫画を読み返して思った。好きなシーンの要所々々では泣くけど、あれほど涙を止める隙がないほどじゃない。大好きなシーンと繋げ方と見せ方が本当に絶妙だったんだな、と思います。

あと数回、今度は職場後輩と観に行くけど、開始1分弱で泣くことは既に謝った。嗚咽を漏らさないように頑張るし、何よりハンカチはハンドタオルにして絶対忘れない。新品のハンカチはあまり吸収がよくない、を身をもって実感しましたので。